身近すぎて意外に知らないマリーゴールド。メキシコで愛される理由は?

花と山野草

カーラジオから流れてきた、あいみょんの「マリーゴールド」。

すっかり最近のミュージシャンには疎くなってしまったので、恥ずかしながら初めてフルコーラスを聴いたのですが、「いい曲だな」とほんのり幸せな気分になりました。

マリーゴールドはとても身近な花で、見たことがないという人はいないのではないでしょうか。

公園や公共施設、小学校の花壇など至るところで目にするマリーゴールドですが、身近すぎて意外に知らない面も多い花です。

メキシコでは日本のお盆にあたる「死者の日」に欠かせない花として愛されています。

マリーゴールドはどんな花?

一般的に見られるのはフレンチマリーゴールド

マリーゴールドはキク科の「コウオウソウ(紅黄草)属」に分類される一年草です。

日本でよく見られるのがコンパクトな花姿のフレンチマリーゴールドで、一重咲きや八重咲き、半八重咲きなど品種によって咲き方もさまざまです。

濃い黄色やオレンジ色の花弁は、花壇のアクセントにもなり遠くからでも目立つ色合いです。

フレンチマリーゴールドの他には、大型でこんもりとした花を咲かせるアフリカンマリーゴールドも栽培されています。

切り花として流通している他、休耕中の畑に植えられているのを見たこともあります。

次の項で詳しく触れますが、花が咲いた後で全て畑に鋤き込んで緑肥にするそうです。

ちなみに、日本では仏花としても用いられる「キンセンカ」は「ポットマリーゴールド(またはカレンデュラ)」と呼ばれていますが、同じキク科でもキンセンカ属になるため、異なる仲間の植物です。

ポットマリーゴールドの花はハーブとして扱われ、ハーブティーやハーブ化粧水、染料としても利用されています。

家庭菜園の強い味方

マリーゴールドは、家庭菜園の畑やプランターに野菜と一緒に植えられていることがあります。

これは「コンパニオンプランツ」といって、ある種の植物同士を一緒に植えることによって互いの生育が良くなったり、害虫や病気を抑制したりする効果が期待できるものです。

マリーゴールドは独特の芳香があり、葉に触れるとクセのある青臭さを感じますが、その匂いを嫌う害虫を避けます。

例えば、アブラナ科の野菜にはモンシロチョウがやってきて卵を産みますが、モンシロチョウはキク科植物の匂いを嫌うためアオムシの被害を抑制するとされています。

他にも土中に潜んで植物に根からダメージを与える線虫類を抑えることが知られており、野菜と混植される他にも緑肥として鋤き込むことで土壌の浄化に利用されています。

マリーゴールドの由来と逸話

「聖母マリアの黄金の花」

マリーゴールドという名前の響きも美しいですが、その意味は「聖母マリアの黄金の花」です。

聖母マリアの祝日にいつも咲いていることから、聖母マリアに捧げる花としてそう呼ばれるようになったとのことです。

また、マリーゴールドの花にはギリシャ神話に因んだ逸話もいくつかあります。

その中のひとつ、太陽神アポローンに恋をした人間の少女カルタの悲劇について紹介します。

恋焦がれたカルタは来る日も来る日もアポローンの姿を見ることを生き甲斐にしていましたが、その情熱が身を焦がし、衰弱して魂だけになってしまいました。

彼女が立っていた場所に生えたのが1本のマリーゴールドだったというお話です。

カルタの姿は、太陽が昇ると共に花開き、太陽が沈むと花を閉じるマリーゴールドそのもののようです。

メキシコでは「死者の日」の花

マリーゴールドはメキシコが原産で、「フレンチ」「アフリカン」と付いていてもフランス原産、アフリカ原産ではありません。

原産地のメキシコでは、マリーゴールドは非常に重要な意味を持つ花です。

メキシコでは毎年11月1~2日が「死者の日」として、家族や友人が集って故人への思いを馳せる日です。

アメリカのハロウィンや、日本のお盆に通じる行事ですが、祭壇には食べ物や飲み物、ろうそくやたくさんのマリーゴールドの花が華やかに飾られます。

日本におけるお盆は故人やご先祖様を静かに偲ぶものですが、メキシコでは明るく楽しく祝うことで生きる喜びを感謝し分かち合う意味合いがあり、仮装やパレードなども行われます。

マリーゴールドは、死者の日に帰ってくる故人が迷わずに祭壇までたどり着けるように導いてくれる力があるといわれており(迎え盆と同じですね)、この時期のメキシコは町中にマリーゴールドの花であふれています。

余談ですが、自粛生活の折に大ブームになったゲーム「あつまれどうぶつの森」でも季節限定アイテムとして「マリーゴールドの飾り」が登場したこともあり、少しずつ日本でも知られてきているようです。

まとめ

公園や小学校の花壇など、どこでも普通に見られるマリーゴールド。

その身近さゆえに、実は知られていない側面がたくさんある花です。

観賞用や家庭菜園のコンパニオンプランツとしても利用されるマリーゴールドは、キリスト教やギリシャ神話にも深く関わる花です。

特にメキシコでは、日本のお盆に通じる「死者の日」を象徴する花として愛されています。

身近すぎて意外に知らなかったマリーゴールド、その名の由来や逸話を知ると、これまでとは違った視点で見ることができそうです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました